6月から3割増!楽天出店料が値上げ…注意点と詳細とは?

楽天グループでは2024年6月1日に、「楽天市場」の出店プランの一部を改定し、基本出店料を約30%の値上げが実施されます。2024年1月25日開催の「楽天新春カンファレンス2024」内で発表された理由には、近年の物価や人件費、電気代、システム管理費などの高騰を含む外部環境への変化対応に加え、AIなどイノベーションへの適応、さらなる店舗運営の支援やユーザビリティを強化していくことが挙げられていました。

そこで、本記事では、楽天市場における出店料値上げに関する詳細と、今後どのように楽天ショップを運営していくべきなのかを中心に解説します。

楽天出店料はいくらになる?

基本出店料(月額固定費)変更の詳細について

2024年6月1日より、各出店プランごとの基本出店料(税別)の変更は以下の通りになります。

※売上課金などのシステム利用料は変更なし

比較表 基本出店料(月額固定費・税別)

出店プラン2024年5月31日まで2024年6月1日から
メガショッププラン¥100,000 →¥130,000
スタンダードプラン¥50,000 →¥65,000
プレミアムライトプラン¥39,800 →¥52,000
ライトプラン¥39,800 →¥52,000
がんばれ!プラン¥19,500 →¥25,000
Ichiba Basic Shop Open Plan¥50,000 →¥65,000

上記の通り、全体的に約3割の値上げとなっております。

楽天市場は2008年に現在の出店プラン体系になってから、16年間にわたり基本出店料は変えずに維持してきましたが、近年の物価や人件費、電気代、システム管理費などの高騰を含む外部環境への変化対応に加え、AIをはじめとする最新テクノロジーを導入していくことが影響し、今回の値上げに至ったとのことです。

具体的には、商品データや商品ページの作成、問い合わせ対応、RMSのサポート、分析などにもAIを導入し、店舗の業務効率化を支援していく予定とのこと。さらに、登録商品数や画像登録可能容量の大幅なアップグレードも予定されています。

出店プラン2024年5月31日まで2024年6月1日から
画像容量スタンダードプラン5GB100GB
がんばれ!プラン500MB1.5GB
登録商品数スタンダードプラン20,000商品50,000商品
がんばれ!プラン5,000商品10,000商品

画像容量については、「スタンダードプラン」は5GBから100GBに、「がんばれ!プラン」は500MBから1.5GBに引き上げられ、 登録商品数については、「スタンダードプラン」は20,000商品から50,000商品に、「がんばれ!プラン」は5,000商品から10,000商品に引き上げられると発表されています。

◆新料金適用予定および請求タイミングについて

新料金適用開始日は、2024年6月1日(土)となり、現状、固定費以外の値上げは行われない予定です。

新料金適用に伴う請求のタイミングは、適用日後からに日割り計算の上、請求が行われるとのこと。例えば、スタンダードプラン(基本出店料が半年ごとの2回分割)の店舗の課金開始日が3月15日の場合、2024年3月に、旧料金にて基本出店料(月額固定費)の請求がBillPay(Web帳票閲覧システム)に開示されます。その際、2024年3月15日~5月31日分までは旧料金、6月1日~9月14日までは新料金が適用となり、6月1日以降、差額が追加で請求される仕組みです。

◆特別措置の実施について

通常、楽天では、契約期間途中での解約やプラン変更は受付けていませんが、今回は「特別解約措置」として、出店契約の解約を希望する場合、2024年4月1日(月)から 5月31日(金)までに申請することで、受け付けることができるとのことです。(お申込みフォームは2024年4月上旬を目安に案内予定)

また、解約や変更以外に、特別の事情を配慮すべき店舗においては別途相談窓口が用意されています。ただ、特殊事情相談窓口への相談・要望すべてに応えられる約束はできないと但し書きがあることから、相談する際はそれなりの理由が必要になるでしょう。

さらに、出店契約中のプラン変更に関しても同様に、4月1日(月)から 5月31日(金)の間に申請した場合は「特別プラン変更措置」として受け付けるとのことです。

◆楽天出店料は高い…?AI導入の取り組みについて

今回の出店料値上げにより楽天の出店料が高いという声が以前よりも目立っておりますが、今回の出店料値上げの背景には「AI導入」があります。ユーザビリティの強化・店舗の運営効率化に向けて、次のようなAIの取り組みを進めているとのことです。

・ユーザビリティの強化

① セマンティック検索

2024年1月、楽天市場ではこれまでの単純なキーワードの一致検索だけではなく、ユーザーの検索意図や意味を理解して、関連性の高い商品を表示できる「セマンティック検索」がリリースされました。これにより、これまで以上にユーザーが探している商品を見つけやすくなり、欲しい商品が見つからないという事態を減らし、ショップの売上アップにつなげていくとのことです。

具体的には、長い文章でも検索結果ページにおいてヒットしますので、検索ヒット件数が「0」ということはなくなります。そのため、楽天市場全体の売上も伸びるだけではなく、ショップには、予想もしないワードでの流入が増えるかもしれません。ぜひ流入キーワードをチェックしてみてください。

②レビューの要約表示機能

各商品レビューに共通して記載されている要素をAIで要約し、レビュー1件1件を読まずとも、多くのユーザーがコメントしている内容が一目でわかるようになります。また、レビューの要約だけでなく、共通してレビューに記載される要素をAIが自動的に分類し、各要素が書かれているレビューを見つけやすくなるとのことです。

例えば、ファッションジャンルのレビュー投稿においては、よく目にするのが、”サイズ感”や“素材感”、“色味”などがありますが、その中で共通してレビューに記載される要素をAIが判断してくれるので、購入検討しているユーザーにとっても便利になり、レビューが売上アップに影響しやすくなります。

そのため、今からレビューを集めるための施策を進めておくことをおすすめします。

・店舗運営の効率化

①「データ分析 R-Karte」における分析サマリ表示

「データ分析 R-Karte」の「売上の公式」データをAIが分析し、データから読み取れる売り上げの傾向や店舗ごとの特徴を要約されるようになります。これにより、店舗側でデータを読み取り分析をする必要がなくなり、AIの提案する売上改善に向けた示唆や推奨アクションを確認できます。

②商品説明文の自動生成と商品画像の複数パターン生成

商品名・商品画像などの情報からAIが商品説明文を自動生成する機能と、商品画像の背景やテイストをAIが複数パターン作成する機能を通して、商品登録作業の効率化と商品ページの品質改善を支援してくれます。

③「R-Messe 問い合わせ管理」での回答自動生成

ユーザーからの問い合わせに対して、店舗が回答方針をAIに指示すると、その方針に従った回答案を自動生成されます。これにより、問い合わせ1件1件に対して返信文案を考える時間を短縮し、運営業務効率化につながります。

④RMS Al Chat機能

「楽天市場」出店者の管理システム「RMS」における従来のAIチャットサポート(店舗向けチャットボット「相楽しんく」)がアップグレードされます。従来の選択肢を絞り込んでいく形式、フリーテキストでの回答に加え、AIが最適な「店舗運営Navi」のマニュアルを提示できるようになります。生成AI機能も搭載し、メルマガやユーザーへの案内など、EC業務に必要な文章の要約や分類、校正といった作業をAIが手がけられるようになりますので、店舗のニーズにあわせてAIに代替させることが可能です。

⑤品質改善審査業務への活用

ユーザーの安心・安全なお買い物のため、日々のモニタリング業務や審査業務においてもAIを活用していくとのことです。

◆今後どのように楽天ショップを運営していく?

上記で解説したように、今回の出店料の値上げは、単なる値上げではなくプランのアップグレードや機能改善も伴いますので、これまで「R-Cabinet 容量追加オプション(*)」を利用されていた方や出品数の多い店舗にとっては実質値下げになる可能性もあります。

※R-Cabinet 容量追加オプション…R-Cabinetの容量を出店プランの変更をおこなうことなく追加ができる有料サービス。R-Cabinetの利用可能容量を1GBまたは10GB既存の容量に追加することができます。

また、特別措置の実施もありますので、自分のショップの出店プランがわからないという方は、まずはRMSより確認しておくと安心ですね。

確認したら必要に応じて、出店プランを見直ししてみてください。

出店プランを見直すにあたり、適切なプランに迷われる方は、月商178万円を超えだしたタイミングがスタンダードプランへの変更の指標となり、月額費用のシミレーションも提供されているので、以下も目安に検討してみてください。

月間費用シミュレーション

https://www.rakuten.co.jp/ec/plan/cost_simulation

さらに、楽天市場のシステムでAIを導入することにより、いままで取り組めなかった施策も実施できるようになります。そう考えると、今回の出店料値上げは、ショップによってはデメリットだけではなくメリットもありそうですね。

◆まとめ

2024年6月より楽天市場での基本出店料が約3割値上げになりますので、いかに他の部分でコストを抑えながら運営していくか、早めに検討すること重要です。

さらにクーポンの有料化も始まっているため、今後これまでと同様の楽天運営を実施していれば、売上が上がっても利益が残らない…という事態になりかねません。

また、RPPなど楽天広告に費用をかけている方は、広告運用を最適化することがコスト削減の近道かもしれませんし、そもそも販売している商品の方向性を修正する必要も出てくるかもしれません。

今後、どのように楽天ショップを運営していくか?おひとりで悩まれずに、まずはお気軽にご相談ください。